帰ったらずっと行きたいと思っていた場所
母の好きな物と白い花束を持って1人
そこは母の見つかった場所
自宅からあの日のように堤防沿いを行く
この長い道を川を母がたどっていったんだと涙が次から次にこぼれた
寒い冬が過ぎて
堤防にはアザミやシロツメクサが咲いていた
緑がたくさん溢れていた
海まで400メートルのその場所も
緑がおいしげり
あの日のことを忘れたかのよう
草やぶをかきわけ川岸についた
花を手向けお供えをした
手を合わせて
お母さん帰ってきたよ
もう遠くへは行かない
こうやって時々ここで会えるね
この場所へ誰にも知られず
1人で来たかった
母の月命日には毎月
帰りにアザミを摘んで帰った
葉っぱのトゲが
これが夢ではないと指を刺した