会いにいく
次の日の午後実家に着いた、母を夕方迎えに行き皆が母の帰りを待ってくれていた。
まず私達が母に会った。
半透明のビニールに覆われ全身ベールをつけているようだった。
どんなお母さんでも受けとめる覚悟をしていた
確認出来たのは鼻と手と足だけ
私と同じ爪、小さい時よく手をつないでくれた優しい手
間違いない、ビニールの上から冷たくなった手を握り頬をなでてあげた
今書いていても思い出して涙があふれる
お棺に着ていた服が一緒に入っていた
私が買ってあげた服、靴
重たかった、苦しかったね、おかえり
お母さんどんなに会いたかったか知れないよ
せっかく会えたのに
心の中でそう語りかけた
その夜2人で久しぶりに夜を過ごした、こんなに長く母と過ごしたのは一緒に暮らして以来、お茶をいれ母の分も用意した、母の好きな和菓子を半分づつ食べた、久しぶりに食べるお菓子、どんな味だったか覚えていない。
外が明るくなり鳥の声が聞こえた、夜明け
今日は県外に住む母の妹が帰ってきてくれる捜索の時も毎日電話をくれ唯一叔母と話すときだけ泣かせてもらった。
また1日
母とお別れの日が近づく
ビニール下の手を握って暖めてあげたかった
母の手の感触を覚えておきたかった
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